レンタル何もしないメイドがいるスペースに行ってきた。

レンタル何もしないメイドがいるスペースに行ってきた。

と言っても、何のことかわからないですよね。

レンタル何もしないメイドがいるスペース(以下メイスぺ)は、「メイドがいる」「レンタルスペース」です。そして、メイドは何もしません。詳しく説明していきます。

メイスペとは何か

常設店舗ではなくレンタルスペースである

メイスぺは常設店舗ではありません。文京区湯島にあるレンタルスペース「Tokyo in Next」を借りて、週末限定で営業しています。今月は土曜日だけの営業だそうです*1。カウンターとソファーを合わせて15席程度の小さなお店です。

メイドがいる

かわいいメイドさんがいます。私が行った時には2人のメイドさんがいました。こえびさん、もりながさん、ゆっぴさんの計3人でお店を回しているそうです。

メイドは何もしない?

メイスペは飲食物の提供を行っていません。コーヒーもありませんしオムライスもありません。さらに言うと水も出てきません。お客さんは自分で飲食物を持ち込みます。メイドの本分は調理と配膳ですから、実質的に何もしてないというわけです。

その代わり、メイドさんはおしゃべりしてくれます。チェキを撮ることもできます。なんと「おつかい」にも行ってくれるとか行ってくれないとか。すなわち、何もしないというのは方便であって、実際のメイドさんは一生懸命働いています。

メイスペの楽しみ方

メイスペのキャッチコピーでは「好きなものを、好きになる人と、好きになれる場所で」と表現されています。飲食物の提供こそありませんが、持ち込んだドリンクを片手にカフェやバーのように自由に過ごすことができます。一人で本を読むもよし、友達と話をするもよし、ぼんやり過ごすもよし。ときどきメイドさんが話しにきてくれますから飽きることもないでしょう。

私の過ごし方

私は御徒町駅前のスタバで買ったドリンクを持ち込みました。今回は「ほうじ茶ティーラテ(豆乳変更、はちみつトッピング)」。優しい味でお気に入りなんですよ。こんなドリンクが飲めるメイドカフェってないでしょう?メイスペならそれが可能です。

もちろんお手軽にペットボトルや缶飲料を持ち込むこともできます。炭酸飲料を持ち込む場合はメイスペ1階のコンビニがオススメです。この距離であれば缶ビールの泡が噴き出すこともないでしょう。ただし、メイスペでは原則としてゴミを自分で持ち帰ることになっているので、併せてレジ袋を購入した方がよいかもしれません。

メイスペの感想

飲食物の提供がない点を除けば、極めて正統派のメイドカフェだなという印象を受けました。正統派といっても色々ありますけれど、メイスペは「程よいコミュニケーション」を楽しませてくれるカフェ系店舗の雰囲気ですね。(なんとなく、コンカフェという言葉がなかった時代、10年前頃のメイドカフェの雰囲気を思い出しました。)

全体的に手作り感が強いのも魅力的でした。洗練された店舗も素敵なものですが、システムやメニューをメイドさん達で作っているところに温かみを感じました。ここで働いているメイドさん達はみな、平日は別のお仕事をされているそうです。休みの時間を割いて店舗の運営に尽力される姿には頭が下がるばかりです。

副業としてのメイド

一般的にメイドカフェメイドさんは学生が大半です。コンカフェも同様です。主な生業としてメイドという職業を選ぶのは稀なケースです。しかし、長期にわたってメイドを続けている方の中には、店長となったり、独立開業したりする方もいらっしゃいます。一方で、就職とともにメイドを卒業したものの、職を辞してまたメイドに戻ってくる方もいます。いわゆる「メイドのセカンドキャリア問題」です。

メイスペに行く前は、この「メイドのセカンドキャリア問題」が目の前をチラついていたのですが、思い違いだったようです。メイスペに関しては「副業としてのメイド」という文脈で語る方が筋が通っています。メイドカフェのうち、もっぱら夜に営業している店舗では、副業としてのメイドを行っている方がいます。昼は会社員をしていて夜だけ働くというスタイルです。しかし、定時で終わる仕事でなければ働きづらいでしょうし、(バースタイルの店が多いので)お酒が弱い方は向いていないかもしれません。そもそもこの1年間はコロナ禍で、多くの店舗が営業を見合わせていました。このように夜にメイドカフェで働くというスタイルには様々な制約があります。

こういった問題を自ら切り開いたのがメイスペのメイドさん達です(少なくとも私はそう思っています)。週末の副業としてのメイドを成立させるためにレンタルスペースを借りることにしたのでしょう。このとき、より一般的な「限定カフェ」という方法もあったはずですが、あえて飲食の提供を見合わせて「何もしないメイド」を選ぶ発想は、なるほど見事なものだと思います。

何もしないメリット

副業としてのメイドという文脈で考えたとき、「何もしないメイド」には多数のメリットがあります。まず飲食業に関わる作業を省くことができます。食材やドリンクをあらかじめ準備する必要がありません。週1の営業でも賞味期限の心配がありませんし、廃棄物の処分費用もかかりません。もちろん保健所への届出も必要ありません。

料金体系も自ずとシンプルなものになります。タイムチャージとチェキ等のアミューズメント料だけです。シンプルな料金体系はシンプルなオペレーションを可能にします。これは客にとってもわかりやすいですね。

そして、波及効果として、そういった作業を省略することにより、客と会話する時間を十分に確保することができます。「お飲み物いかがされますか」「はい、お作りします」「おまたせいたしました」。こういったトークはメイスペでは必要ありません。「スタバのティーラテ美味しいですよね」と単刀直入に話が進んでいきます。

波及効果と書きましたが、実はこれこそが最大の狙いなのかもしれません。

水も出ないメイドカフェ

最近、私が通っている別のメイドカフェも飲食物の提供がありません。同じく水も出ないメイドカフェです。建物すらありません。

店の名は「バーチャルあっとほぉーむカフェ(Ⅴあっと)」です。東京と大阪に店舗を構える「あっとほぉーむカフェ」が経営する仮想メイドカフェです。客は自宅からインターネットを通してボイスチャットでメイドの部屋に帰宅します。バーチャルなのでドリンクはセルフサービスですね。

Vあっとの魅力は無限にあって語りつくせませんが、その一つがメイドさんとしっかり会話ができることです。リアルメイドカフェに比べて、飲食に関わるオペレーションがない分、メイドさんも客と落ち着いて話ができるようです。ドリンクを取りに行くために会話が中断するといったことがありません。たまにメイドさんが愛込めしてくれた「あちゅあちゅカフェオレ♡」が恋しくなりますけれどね。

Vあっとへの帰宅を始めてから、意外とドリンクの注文ってストレスだなと思うようになりました。メニューから欲しい商品を選んで、メイドさんを呼び止めて、注文を正確に伝えつつメイドさんと雑談をするのは高度な行為です。私はポンコツなので、かわいいメイドさんを目の前にすると何を頼みたかったか忘れてしまうことがあります。

それはともかく、メイド側にとっても、リソースを会話に集中できるのは一定のメリットであろうと思います。

また、Vあっとは副業としてメイドをしている方がたくさんいます*2。あっとの大妖精さんこと深沢社長によれば「メイドの働き方改革」を意識してVあっとの事業を開始されたそうです*3。メイスペとVあっとには、お互いに通じる部分を感じました。

おわりに

つい話が脱線してしまいました。レンタル何もしないメイドがいるスペースは、素敵なメイドさんがいる居心地のよいスペースでした。みなさまも足を運んでみてはいかがでしょうか。

アクセス、公式サイト

アクセス

・JR御徒町駅より徒歩5分、JR秋葉原駅より徒歩15分

・メトロ湯島駅より徒歩1分、上野広小路駅より徒歩3分、末広町駅より徒歩8分

・都営上野御徒町駅より徒歩3分

旧住所(~2021/10/30) 東京都文京区湯島3-35-11 SN湯島ビル5階

新住所(2021/11/06~) 東京都文京区湯島3-38-5 イイムラビルB1-3

公式サイト 

https://n0shig0t0maid.com/

https://twitter.com/n0shig0t0_maid

*1:最新の営業日時は公式をご確認ください

*2:誰が学生で誰が社会人などといった話題は厳禁です。全てのバーチャルメイドさんはバーチャルの姿を本来の姿としてお給仕されています。

*3:目指すは“メイドの働き方改革” 「バーチャルメイドカフェ」開発の背景とは(1/2 ページ) - ITmedia NEWS